不動産などの固定資産を所有している人は、固定資産税を納付することが義務付けられています。そのため、途中で所有者が変わった場合はどのような取り扱いになるのか、これから不動産を売却しようとしている人はあらかじめ知っておく必要があります。
固定資産税とはどのような税金か
固定資産税は土地や住宅などの固定資産に対して課せられる地方税で、3年ごとに見直される固定資産税評価額に税率1.4%を乗じた額を納めます。
納税義務者は当然ながらその資産の所有者ですが、より細かく言うならその年の1月1日時点において固定資産税課税台帳に所有者として登録されている人ということになります。
ということは、年の途中で不動産を売却した場合であっても、納税の義務は売却した側、つまり前の所有者が負うこととなります。実務上でも、売却の時点で売り手側がすでに1年分の固定資産税を納付済みであるケースが少なくありません。
ただ、これはあくまでも法律上のルールであって、このルールのみに従うとなると売り手側はすでにその物件が人手に渡った後も固定資産を負担しなければならないことになります。
そのため、不動産の売買契約時にあっては、固定資産税を誰が払うかについて別途取り決めがなされることがあります。
途中で所有者が変わった時は按分負担もできる
不動産売買時において固定資産税を誰が払うかについての取り決めを行う時、よく用いられているのはそれぞれの所有期間に応じて負担を按分するというやり方です。
たとえば年のちょうど真ん中で売買契約が成立した時は、売り手と買い手双方が6か月分を負担することになります。
しかし先にも述べた通り、法律上はこのような定めがないので、法律とは異なる形で誰が払うかを決めるに当たっては当事者間の合意が必要となります。
そのため、売買契約を取り交わす時は、まず契約書を確認します。そしてもし不動産会社の提示した契約書を確認しても固定資産税の支払いに関する規定がない時は、当事者間で話し合って取り扱いを決め、その内容を契約書に追加してもらうようにします。
もちろん、合意さえあれば按分しないという取り決めを行うこともできます。なお、都市部の戸建て住宅やマンションなどの所有者は固定資産税だけでなく固定資産税と都市計画税の両方を負担しているケースが多いですが、上記の取り扱いは固定資産税と都市計画税の両方に適用可能です。
都市計画税は道路の建設や上下水道の整備などに充てるため、特定の市街化区域に不動産を所有する人に課せられる税金ですが、納付のルールは固定資産税と同じです。
そのため、売買に当たっては固定資産税と都市計画税両方の規定があるかどうか、契約書を確認するようにします。
まずは売り手と買い手が話し合いを
不動産にかかる固定資産税は1月1日時点の所有者が負担するのが原則ですが、年の途中で売却した時は買い手側に一部負担を求めることも慣例上は可能です。
売買交渉を行う時はその点についても話し合いを行い、後でトラブルとならないよう契約書中に取り扱いを明文化しておくのがおすすめです。